アローズの新たなスマホ展開は、お買い物のスタイルを変革するか?
ユナイテッドアローズが今年の春より、スマートフォンアプリで行う試着予約サービスを開始するようです。
ユナイテッドアローズが「試着予約」アプリを提供 :日本経済新聞
ユナイテッドアローズは2014年春に、試着予約サービスを開始する。これは顧客自身がパソコンやスマートフォン(スマホ)から商品の店頭在庫を検索し、気に入った商品があれば、希望する店舗での試着を予約できるサービスである。在庫の取り置きともいえ、ユナイテッドアローズは試着予約の依頼があった商品の在庫を先に引き当てておいて、指定の日時までに該当商品を店舗に用意しておく。
顧客は実際に試着してみて納得できれば、その場で購入できる。ネット通販のように、サイト上でいきなり購入手続きに進む必要はなく、店頭で購入を決めた段階で、支払いをすればよい。
「服の試着まで予約するのかよ・・・目当てがなかったら他を買えばいいだけの話だろうが」という感想を持つようでは、ここで起きていることの本質が見えていないと言えるでしょう。
ここで起きている戦いは、
ユナイテッドアローズ VS その他の競合アパレル
という構図ではありません。
店舗 VS お客 という構図ですらありません。
従来、こういう予約行動は、レストランとか宿泊とか、時間消費型のサービスを利用する時だと相場が決まっていました。
もちろんそれは、「わざわざ行って無駄足になったら取り返しがつかない」からです。
なぜわざわざそれと同じことを、服の買い物でやる必要があるのか?
今現在、服の買い物をしようと思ったら数えきれない方法があります。雑誌の通販もあれば、楽天もあるし、ヤフオクだってある。店舗にしたって百貨店もあればアウトレットもあれば、要するに購買チャネルは膨大で、自分の自由になる時間にそれを使いこなすことそのものが、結構ノウハウがいるのです。
極論すると、amazonに頼めばその日のうちに商品が届く時代です。
そのなかで、わざわざアローズまで行くのはなぜか?
そこを考えると、確かにこのやり方には大いに納得感があります。
リアル店舗に買い物に行って最悪なのは、目当ての商品が在庫切れして、時間が無駄になってしまうことです。ユーザーにとっては、ここでの戦いは「時間を無駄にしないかどうか」ということ一点のみであり、私達は「目当ての商品が店頭になかった」としたら、もはやその店に対して存在意義を感じることは無いのです。
そう、顧客である私達自身、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」を常に実践しているのです。ここで店舗サイドがやるべきなのは、「何が知りたいのか?」をキャッチし、その情報ルートを作ることです。
魅力的な新作情報こそが求められているはずだ、なんて思っていたらそれはきっと勘違いで、痒いところに手が届く情報を提供することが、逆に顧客の囲い込みにつながるはずだ・・・と、そう考えての打ち手なのでしょう。
この思考方法からは、学ぶ余地が大いに有ります。
まぁ、「わざわざアローズのためのアプリをスマホに入れる」というこれもまた面倒な話なので、ことの成否はそこにかかっているのでしょうけれど。
【教訓】
お客も店の情報を探っている。
いまどき、時間を無駄にするサービスは不要。
【孫子的戦略評価】
それは思いつかなかった!指数 ・・・★★★★☆
これはうまくいきそう!指数 ・・・★☆☆☆☆
3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法 その3
3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法。
1つ目のポイントは、「相手の弱点を突く」ということでした。
2つ目は「相手のことと、自分のことを知る」ということです。
この二つは、論理的に完全に正しいものです。相手のことを知らずに、相手の弱点は絶対に突けません。そして勝負、勝敗というものを考えるにあたって、これ以上の論理は存在しません。
では、3つ目は何でしょうか?
それは、この2つのポイントにある死角に関するポイントです。
それは、「相手の弱点を突くために準備して、いざ戦いを仕掛けても、実際に戦が始まったら想定外のことがおきてグチャグチャになる」という最大の問題です。
どんな計画も、かならず想定外というものがあり、これが全てをぶち壊すのです。それへの対処法として、一押しなのがこれです。
ポイント③ 水が岩石を押し流すように、勢いで勝て
【原文】激水之疾、至於漂石者、勢也、
【訳】水が激しく流れて岩石ですら押し流し漂わせることができるのは、勢いがあるか
らだ。
どれだけ周到に準備を重ねても、いざ戦が始まったら、想定外のトラブルや行き違いでなかなか計画通りにいかないものです。もしそこで長期戦に事を構えようものなら、資源もやる気も失って、傷を広げるばかりです。
もっと言えば、戦の最中にどんなことが起きたら最悪かと言えば、「それは自軍のトップが乱心する」というやつで、孫子兵法のなかではかなりしつこくそのことが書かれています。
敵を倒す方法よりも、主君をいかに押さえるかというほうが大事だ、ぐらいの勢いで書かれています。
ではどうすればよいのか?
その答は「勢い」です。
勢いなきところに勝利はありません。
ということで今回もまた、「時間との競争」の本文を、少しだけご紹介です。
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孫子兵法のなかで、「勢」は象徴的な概念です。「勢」とは急な川の流れが石をも動かすような「勢い」のことです。
弓の弦を引く時のように十分に力を蓄え、矢を放つ時のように瞬間的に行動することで「勢」が生まれます。「勢編」は、孫子兵法のなかでも特にエッセンスが詰まっており、是非とも原文で読むことをお勧めしたいパートです。
ここでは、戦場において、勝負所を見極めて、自軍の組織、協力者の力を合わせて一気に解き放ち、相手の急所をつくのが理想の組織運用の姿であると説いています。
孫子兵法は、煎じ詰めると、二つの観点で読むことができます。すなわち、目標を達成するための理想のプロセスをいかに描き、必要な情報をいかに集めて意思決定をするか、という「決断」の観点、そして目標を達成するために、いかに所属する組織の内外
の仲間の持つ力を結集し、予想外の事態に対して臨機応変に対処していくか、という「実行」の観点です。そのなかで、孫子が一貫してベースとしているのは「戦略は環境で決まる」という考え方です。環境を利用して、いかに「勢」を作り出すか、というポイントにこそ、孫子兵法の真髄があります。
孫子の「勢」へのこだわりは、戦いは個人で行うものではなく、集団でおこなうものであるとの考えに由来しています。その背景には、当時の中国にあって戦争が長期化、大型化した結果、戦争の敗北が国家の存亡に関わる大事になっていったことがあるのです。
孫子以前の、中国春秋時代の戦争では、たがいをはるかに見通すことの出来る大平原に、両軍の戦車が日時を決めて布陣し、開戦の合図によって戦いを始めていました。兵力数としても、数百から数千という規模で、数時間から長くて数日で決着がついた。極めてシンプルな合戦だったのです。
しかし、孫武が活躍した呉王闔閭の時代の戦争は、それまでの戦争のあり方を一変するものでした。大量の歩兵を主力とする軍隊構成で、数年に及ぶ長期持久戦、しかもお互いがお互いを欺きながら戦局が展開されていくという、言わば戦争におけるイノベーションが起きた時代だったのです。
そのような大規模な戦争は国家の財産や人材を総動員するものであり、敗北は即、国家の存亡に直結しました。そのような時代の要請にこたえる形で生まれたのが、大規模な組織を一気に動かして勝利を得る孫子兵法の考え方なのです。
「時間こそ最大の資源」で触れた内容と似ていますが、やはりダラダラやっては動くものも動きません。やると決めたら一気に実行し、成否を見極める。これが肝心なのです。
行の章 「水が岩石を押し流すのは、勢いがあるから」より
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繰り返しますが、孫子兵法とは3つポイントで押さえることができます。
1つ目のポイントは、「相手の弱点を突く」ということ。
2つ目は「相手のことと、自分のことを知る」ということ。
3つ目は、「周到に準備したら、勢いで勝ち切る」ということ。
問題は、これを実現することが途方もなく難しい、ということです。
こればかりは実例とともに考えていかなければ、なかなかわかりづらいところです。
ということで、世間のニュースやなんかを取り上げ、「孫子兵法の真の応用」を目指し、考えてまいりたいと思います。
3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法 その2
3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法、第二回目です。
今回取り上げるのは、あの名台詞、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」です。
ポイント② 相手の事を知り、自分の事を知らないと、必ずいつか負ける
【原文】知彼知己者、百戰不殆、不知彼而知己、一勝一負、不知彼不知己、毎戰必殆
【訳】戦いにおいては、敵軍のことを知り、自軍のことを知っていれば、百戦しても危うい状況に陥ることはない。敵軍のことを知らずに自軍のことだけを知っていれば、勝ったり負けたりし、敵軍のことを知らず自軍のことも知らなければ、戦うたびに必ず危険な目にあう。
第一回でご紹介した、「相手の弱点を突く」という戦いは、相手を知らなければ絶対に不可能です。
そして、相手の弱点に勝てるかどうかは、自分をしらなければ、やはり不可能です。
今回は、「時間との競争」から引用するまでもないですが、一応、該当部分をご紹介したいと思います。
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「彼を知り己を知らば百戦して殆(あや) うからず」のフレーズは、孫子兵法の中の言葉でもっとも有名なものの一つです。
戦いにおいて敵軍を自由に操ることはできません。むしろ敵は、突然考えもしないところから出てくるものです。確実に勝利を得るためには、敵軍をうまく自軍が強い領域に誘い込むか、敵軍の弱みをついて自軍を展開させていくかのどちらかしかありません。
もちろん、自軍の実力がわかっていないことも危険なことです。折角うまく敵軍を誘い込むことができても、肝心の自軍の力が及ばなければ、当然、負けてしまいます。敵軍のことも自軍のこともよく心得ておかなければなりません。
計の章 「己を知らない者は、敗因すらわからない」より
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実はこのフレーズ「敵を知り己を知れば~」として紹介されていることが多いですが、原文は「彼を知り」という記述になっているようです。ですが、このフレーズ、「敵」とするか「彼」とするかで、決定的に意味が変わってきます。
というか、これを「敵」と読むような兵法家がいたとしたら、それこそ「生兵法」というやつです。
一体それは、どういう意味か?
それはまた後日、どこかでお話したいと思います。
3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法 その1
孫子兵法は、そのエッセンスだけ取り出すと、そんなに難しくありません。
というか、全然難しくありません。
実は孫子兵法とは、 そんなに神秘的な話でもないし、むしろ「言われてみたら当たり前」という感じがする話の目白押しなのです。 言葉は悪いですが「馬鹿でも分かる原理原則」を語っているに過ぎません。
じゃあ、サクッと要点だけかいつまめば、はい、終了、じゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、そんな簡単な話でもありません。
日本のことわざに、生兵法は大怪我のもと、という言葉があります。兵法家が常に心がけなければならない原則は、「ロジックはシンプルだけど、応用が難しい」ということなのです。
その意味で、兵法家がまず押さえるべきなのは、その要点をつかみ、事例研究をもとに自由自在に使いこなすということです。
とはいえまずはその「要点」を語らなければ話は始まりません。
ということで、 今回のテーマは、
「3つのポイントで誰でもマスターできる、孫子の兵法」 です。
三回に分けて、孫子兵法の本質を語るポイントをご紹介します。
早速まいりましょう!
ポイント① 相手の弱点を叩け
【原文】如以碬投卵者、虚実是也。
【訳】固い石を卵に投げつけるようにたやすく敵を打ち破ることができるのは、敵のすき(虚)を充実した軍(実)で攻撃する虚実の運用が行われているからである。
これは、虚実篇という篇の一節です。本当は、この一言で兵法は完結してもいいくらい、この言葉は兵法の本質だと言っても過言ではありません。
どうすれば確実に相手を倒せるか?それは、「倒せる相手を倒す」ということです。どんなに相手が強大でも、必ず弱点はあります。そこを突く、というのは孫子兵法の大きな特徴です。
もう少し具体的に解説したいと思いますので、今回も「時間との競争」の一部内容をご紹介したいと思います。
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全軍をあげて戦場に先着し機を制し利益を得ようとしても、組織が大きすぎると機敏に動けず、敵に後れを取り、及びません。そこで軍全体にかまわずに一部を先陣隊として動かし利益を得ようと競争すれば、動きの遅い輜重部隊は後方に捨て置かれ兵站が崩れてしまい、補給がままなりません。
百里離れた戦場に強行すると、強健な兵士は前に進みますが、疲労した兵士は落伍して、その結果、十分の一しか戦場に到達できません。五十里離れた戦場に強行すると、先鋒の上将軍を倒され、兵は半分しか到達できません。
こうした課題を乗り越えるために、常に実際の現場での動きに合わせて不利を有利に変え、遠回りに思える道のりを近道にできる指揮官の采配が必要なのです。
軍争は成功すると自軍に大きな利益をもたらしますが、敵に先を越されると大きな危険になります。
わざと迂回路を取って敵を油断させ、敵の勢いが緩んだ隙を突いていっきに攻め立てる戦法なのです。これによって敵より後に出発しながらも、敵より困難な道のりを歩みながらも、先んじて戦場に到着することができます。これを孫子は「迂直の計」と呼んでいます。
そしてこれこそが、敵の意表を衝くことによって勝利を得るということなのです。
敵が実際にどのような動きを取るかは、戦いが始まらないとわからない。状況をつぶさに観察しておくことで、敵の不意を尽き、敵の弱点を攻撃することができます。
詭の章 「奇と正は表裏一体」より
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いかがでしょうか?
相手の弱点を突くとは、言うは易しですが、実際に組織的にそのような作戦を成功させようとしても、なかなか簡単にはいきません。ですが、だからといってこれ以外に道はないのです。
いかに相手の弱点を見つけ、そこを争点にして、戦いを仕掛けるのか?
これを制するものこそ、真の兵法家だと言えるでしょう。
孫子兵法 × MBA経営学 で、無敵のビジネス人生を
初めまして。
後藤洋平と申します。ビジネスコンサルタントとして、様々な業界・ジャンルの新規事業立案の仕事をしております。
この度、現参議院議員の藤末健三氏と私の共著という形で、孫子兵法の解説本を出版致しました。
「挑戦者の本能と時間との競争」というタイトルです。
テーマはずばり、「孫子兵法とMBA経営学を活用して、仕事を、人生を、よりよいものにする」というものです。
孫子兵法と言えば、「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」というフレーズを聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。
孫子兵法の面白いところは、このフレーズだけではありません。孫子兵法を正しく理解し、活用すれば、私達のビジネス人生は、間違いなくパワーアップします。
が、原文を読み下すのはなかなか骨が折れるものです。
このブログは、この著書の内容を紹介し、より多くの方々へ買っていただくために開設しました。
ずばり、コンセプトは、「本書の内容をまるごとご紹介」です。
本書の魅力や応用法、最近の時事問題と関連付けた解釈など、様々な角度で「孫子兵法×MBA経営学」の考え方をご紹介できればと思っています。
まず今回は、いまなぜ孫子兵法?ということで、導入記事をご紹介したいと思います。
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「孫子の兵法」は、戦争をどう進めるべきかを論じた書物です。
今から2500 年前、その著者と言われている孫武は、戦争の戦略を占いや祈祷で決め
ていた時代、戦争に勝つ・負ける理由を徹底的に分析し、論理的に戦争に勝つための
戦略を取りまとめました。ここで論じられている戦略論はいまなお価値あるものとして多くの人々に活用されています。
これは驚異的なことです。なにしろ、2500 年間も歴史の中で引き継がれ、生き残ったものです。ダーウィンの進化論と同じで、本も時代の変化などに適応したものだけが生き残っていくものですが、孫子の兵法は、時代の変化に適応した、時代の流れに流されない普遍な知識として確立されたとも考えることができます。
聖書よりも昔に著されたこの書物の価値は今なお色あせることもなく、逆に世界中に価値をも認められているのです。
さて、なぜいま「孫子の兵法」なのか。この点を説明します。
ひとつは、やはり古典の普遍的な知恵だということです。
「孫子の兵法」は、戦争をどう進めるべきかについて論じた書物ですが、戦争の仕方
を示しただけでなく、本書にあるように企業経営、そして私たちの人生にも応用が効く、個々人が生きていくうえでも必要な知恵でもあります。
ふたつめに重要なことは、その「国際性」です。
私の恩師であり、共著者の藤末健三氏が兵法と出会ったのは、1990年代の中ごろ、アメリカのビジネススクールに留学していた時だそうです。
経済誌を読んでいると、ビジネスパーソンが読むべき十冊という記事があり、その中に『孫子の兵法: The Art of War』が入っていたのでした。なぜ、兵法がビジネス書か?と思いましたが、飛行場の本屋で『The Art of War』を見つけた時はびっくりしました。日本でいうと新幹線駅の本屋で見つけたようなものです。そこまで広く読まれているとは知りませんでした。
ちなみに、1985 年の映画『ウォールストリート』では孫子の兵法の言葉” Every battleis won before it's ever fought.” が出てきています。腕利き投資家は孫子の兵法を読んでいるとの設定なのです。
そして、最も重要なことは、自分の解釈ができることです。
孫子の兵法の原典は、漢文で約6400 文字の短い文書であり、大きな思考の枠組みだ
けを示しています。つまり、自分で色々な解釈ができるのです。孫子の兵法の良さは、「独自の解釈ができること」です。世の中には多くの孫子兵法解説書があり、原文に触れるのは難しいことではありません。
是非とも漢文を読むことをお勧めします。何回も読み込むうちに行間から新たな発想が生まれてきます。
本書が読者の考えるヒントになれば幸いです。
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いかがでしょうか?
ビジネススクールにおいても、「ビジネスパーソンが読むべき十冊」のなかに『孫子の兵法: The Art of War』が入っているというのは、ちょっと驚きますね。
知っているようで、意外と知られていない孫子兵法の世界。
今後の記事をお楽しみに!