3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法 その3
3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法。
1つ目のポイントは、「相手の弱点を突く」ということでした。
2つ目は「相手のことと、自分のことを知る」ということです。
この二つは、論理的に完全に正しいものです。相手のことを知らずに、相手の弱点は絶対に突けません。そして勝負、勝敗というものを考えるにあたって、これ以上の論理は存在しません。
では、3つ目は何でしょうか?
それは、この2つのポイントにある死角に関するポイントです。
それは、「相手の弱点を突くために準備して、いざ戦いを仕掛けても、実際に戦が始まったら想定外のことがおきてグチャグチャになる」という最大の問題です。
どんな計画も、かならず想定外というものがあり、これが全てをぶち壊すのです。それへの対処法として、一押しなのがこれです。
ポイント③ 水が岩石を押し流すように、勢いで勝て
【原文】激水之疾、至於漂石者、勢也、
【訳】水が激しく流れて岩石ですら押し流し漂わせることができるのは、勢いがあるか
らだ。
どれだけ周到に準備を重ねても、いざ戦が始まったら、想定外のトラブルや行き違いでなかなか計画通りにいかないものです。もしそこで長期戦に事を構えようものなら、資源もやる気も失って、傷を広げるばかりです。
もっと言えば、戦の最中にどんなことが起きたら最悪かと言えば、「それは自軍のトップが乱心する」というやつで、孫子兵法のなかではかなりしつこくそのことが書かれています。
敵を倒す方法よりも、主君をいかに押さえるかというほうが大事だ、ぐらいの勢いで書かれています。
ではどうすればよいのか?
その答は「勢い」です。
勢いなきところに勝利はありません。
ということで今回もまた、「時間との競争」の本文を、少しだけご紹介です。
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孫子兵法のなかで、「勢」は象徴的な概念です。「勢」とは急な川の流れが石をも動かすような「勢い」のことです。
弓の弦を引く時のように十分に力を蓄え、矢を放つ時のように瞬間的に行動することで「勢」が生まれます。「勢編」は、孫子兵法のなかでも特にエッセンスが詰まっており、是非とも原文で読むことをお勧めしたいパートです。
ここでは、戦場において、勝負所を見極めて、自軍の組織、協力者の力を合わせて一気に解き放ち、相手の急所をつくのが理想の組織運用の姿であると説いています。
孫子兵法は、煎じ詰めると、二つの観点で読むことができます。すなわち、目標を達成するための理想のプロセスをいかに描き、必要な情報をいかに集めて意思決定をするか、という「決断」の観点、そして目標を達成するために、いかに所属する組織の内外
の仲間の持つ力を結集し、予想外の事態に対して臨機応変に対処していくか、という「実行」の観点です。そのなかで、孫子が一貫してベースとしているのは「戦略は環境で決まる」という考え方です。環境を利用して、いかに「勢」を作り出すか、というポイントにこそ、孫子兵法の真髄があります。
孫子の「勢」へのこだわりは、戦いは個人で行うものではなく、集団でおこなうものであるとの考えに由来しています。その背景には、当時の中国にあって戦争が長期化、大型化した結果、戦争の敗北が国家の存亡に関わる大事になっていったことがあるのです。
孫子以前の、中国春秋時代の戦争では、たがいをはるかに見通すことの出来る大平原に、両軍の戦車が日時を決めて布陣し、開戦の合図によって戦いを始めていました。兵力数としても、数百から数千という規模で、数時間から長くて数日で決着がついた。極めてシンプルな合戦だったのです。
しかし、孫武が活躍した呉王闔閭の時代の戦争は、それまでの戦争のあり方を一変するものでした。大量の歩兵を主力とする軍隊構成で、数年に及ぶ長期持久戦、しかもお互いがお互いを欺きながら戦局が展開されていくという、言わば戦争におけるイノベーションが起きた時代だったのです。
そのような大規模な戦争は国家の財産や人材を総動員するものであり、敗北は即、国家の存亡に直結しました。そのような時代の要請にこたえる形で生まれたのが、大規模な組織を一気に動かして勝利を得る孫子兵法の考え方なのです。
「時間こそ最大の資源」で触れた内容と似ていますが、やはりダラダラやっては動くものも動きません。やると決めたら一気に実行し、成否を見極める。これが肝心なのです。
行の章 「水が岩石を押し流すのは、勢いがあるから」より
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繰り返しますが、孫子兵法とは3つポイントで押さえることができます。
1つ目のポイントは、「相手の弱点を突く」ということ。
2つ目は「相手のことと、自分のことを知る」ということ。
3つ目は、「周到に準備したら、勢いで勝ち切る」ということ。
問題は、これを実現することが途方もなく難しい、ということです。
こればかりは実例とともに考えていかなければ、なかなかわかりづらいところです。
ということで、世間のニュースやなんかを取り上げ、「孫子兵法の真の応用」を目指し、考えてまいりたいと思います。