孫子兵法 × MBA経営学 で、無敵のビジネス人生を

よりよいビジネス人生を送るために、いかに孫子兵法を活用するか?「挑戦者の本能と時間との競争」の著者が、MBA経営学や時事問題と合わせて考えることで、その思考法を探ります。

3つのポイントで、誰でもマスターできる孫子の兵法 その1

孫子兵法は、そのエッセンスだけ取り出すと、そんなに難しくありません。

 

というか、全然難しくありません。

 

実は孫子兵法とは、 そんなに神秘的な話でもないし、むしろ「言われてみたら当たり前」という感じがする話の目白押しなのです。 言葉は悪いですが「馬鹿でも分かる原理原則」を語っているに過ぎません。

 

じゃあ、サクッと要点だけかいつまめば、はい、終了、じゃないの?と思う人もいるかもしれませんが、そんな簡単な話でもありません。

 

日本のことわざに、生兵法は大怪我のもと、という言葉があります。兵法家が常に心がけなければならない原則は、「ロジックはシンプルだけど、応用が難しい」ということなのです。

 

その意味で、兵法家がまず押さえるべきなのは、その要点をつかみ、事例研究をもとに自由自在に使いこなすということです。

 とはいえまずはその「要点」を語らなければ話は始まりません。

 

ということで、 今回のテーマは、

 

「3つのポイントで誰でもマスターできる、孫子の兵法」 です。

 

三回に分けて、孫子兵法の本質を語るポイントをご紹介します。

 

早速まいりましょう!

 

ポイント① 相手の弱点を叩け

 

【原文】如以碬投卵者、虚実是也。

【訳】固い石を卵に投げつけるようにたやすく敵を打ち破ることができるのは、敵のすき(虚)を充実した軍(実)で攻撃する虚実の運用が行われているからである。

 

これは、虚実篇という篇の一節です。本当は、この一言で兵法は完結してもいいくらい、この言葉は兵法の本質だと言っても過言ではありません。 

 

どうすれば確実に相手を倒せるか?それは、「倒せる相手を倒す」ということです。どんなに相手が強大でも、必ず弱点はあります。そこを突く、というのは孫子兵法の大きな特徴です。

 もう少し具体的に解説したいと思いますので、今回も「時間との競争」の一部内容をご紹介したいと思います。

 

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 全軍をあげて戦場に先着し機を制し利益を得ようとしても、組織が大きすぎると機敏に動けず、敵に後れを取り、及びません。そこで軍全体にかまわずに一部を先陣隊として動かし利益を得ようと競争すれば、動きの遅い輜重部隊は後方に捨て置かれ兵站が崩れてしまい、補給がままなりません。

 

百里離れた戦場に強行すると、強健な兵士は前に進みますが、疲労した兵士は落伍して、その結果、十分の一しか戦場に到達できません。五十里離れた戦場に強行すると、先鋒の上将軍を倒され、兵は半分しか到達できません。

 

こうした課題を乗り越えるために、常に実際の現場での動きに合わせて不利を有利に変え、遠回りに思える道のりを近道にできる指揮官の采配が必要なのです。

軍争は成功すると自軍に大きな利益をもたらしますが、敵に先を越されると大きな危険になります。

 

わざと迂回路を取って敵を油断させ、敵の勢いが緩んだ隙を突いていっきに攻め立てる戦法なのです。これによって敵より後に出発しながらも、敵より困難な道のりを歩みながらも、先んじて戦場に到着することができます。これを孫子は「迂直の計」と呼んでいます。

 

そしてこれこそが、敵の意表を衝くことによって勝利を得るということなのです。

 

敵が実際にどのような動きを取るかは、戦いが始まらないとわからない。状況をつぶさに観察しておくことで、敵の不意を尽き、敵の弱点を攻撃することができます。

 

 詭の章 「奇と正は表裏一体」より

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いかがでしょうか?

 

相手の弱点を突くとは、言うは易しですが、実際に組織的にそのような作戦を成功させようとしても、なかなか簡単にはいきません。ですが、だからといってこれ以外に道はないのです。

 

いかに相手の弱点を見つけ、そこを争点にして、戦いを仕掛けるのか?

 

これを制するものこそ、真の兵法家だと言えるでしょう。